2021/02/03 00:07


カンポットペッパー Kampot Pepper は、
カンボジアの南部にある小さな2つの町 カンポットとケップで収穫される
産地の名前が称された 特別な胡椒です。

フレッシュで芳醇な香り、奥深い味わい、マイルドかつ刺激的な辛さが特徴で
 「胡椒の王様 King of Pepper」とも呼ばれています。

カンボジアはもともと、美味しい胡椒がとれる産地として知られ、
13世紀の書物にはその記載があるほど胡椒の歴史が長い国です。

そのなかでもカンポット産の胡椒は 最高品質を誇っていたため
フランス植民地時代には、栽培がさかんに行われ
ヨーロッパに多く輸出されていました。

≪PHOTO: カンポットペッパーを代表する 黒胡椒 Black Kampot Pepper≫


ふだん私たちが食卓で使っているのは「乾燥胡椒」ですが、
もともとは、青々と実った植物の種です。

他の野菜や果物と同様、気候や土壌、栽培方法により
胡椒もその香りや味、品質に大きな差がでます。

≪PHOTO: 青々と実ったラプランテーション農園のカンポットペッパー。房状に実をつける≫


カンポットの地で古くから栽培されてきた固有の胡椒の種を、
何世紀も受け継がれた伝統農法を忠実に守りながら
すべて手作業で作っているカンポットペッパー。

その美味しさの理由のひとつは、土地の特徴にあります。

カンポットは山と海に囲まれた自然豊かな場所です。
山からのミネラルが豊富で、小石を含む水はけのいい土壌、
豊富な日光と大量の雨、気温を一定に保つ海からのそよ風など
胡椒栽培に最適な条件がそろっています。

≪PHOTO: ラプランテーション農園は、山と海に囲まれたカンポットの最高の場所に位置する≫


≪PHOTO: ラプランテーションの農地は50ha以上あり、最大規模を誇る。2万本以上の胡椒の木を栽培している≫

カンポットペッパーの商品パッケージには、(左から)
カンポットペッパーのロゴ、カンボジアのPGI(地理的表示保護)
EUのPGI、フランスのオーガニック認定機関エコサート(Ecocert)のロゴ
などが入っています。

■カンポットペッパーのロゴ
カンポットペッパーと認定された胡椒にのみ使うことができます。

■カンボジアのPGI(地理的表示保護)ロゴ
地域特有の条件や製法によってのみ作り出される商品と認められたマーク。

■EUのPGI(地理的表示保護)ロゴ
ヨーロッパ連合によって 地域性を認められたマーク。

■エコサート認定 ロゴ
カンポットペッパーの規定にそって作られたことをエコサート認定したマーク。






世界でもこの地域でしか生産できない特別な胡椒として、EUの地理的保護制度(PGI)により守られています。カンポットペッパーを名乗ることができるのは、栽培や生産、パッケージングにいたるまでを、"認定を受けた"生産者が "限定地域内"でおこない、厳しい品質基準をクリアした胡椒のみに限られています。

カンポットの胡椒の歴史は13世紀のアンコール王朝まで遡ることができます。1870年代からのフランス植民地時代にはヨーロッパの高級レストランがこぞって買い求め、20世紀初めにはカンポットだけで年間8,000トンが輸出されていました。しかし、1970年代の内戦により多くの農民が土地を追われ、殺されたり行方不明になります。胡椒畑は破壊されて米の生産に使われるなどカンポットの胡椒産業は壊滅。1990年代、収穫量はわずか4トンにまで落ち込みます。2000年になって徐々に農民が戻り始め、カンポットの胡椒がようやく復活の兆しをみせます。 2009年、カンポットペッパー協会が設立。2016年、EUの 原産地の保護を定めた制度=PGI(地理的表示保護)に守られました。<br/>カンポットペッパーの歴史は、カンボジアそのものの歴史と重なります。内戦の傷跡から立ち直りつつあるカンボジアにおいて、カンポットペッパーもまたかつての名声を取り戻しつつあるのです。