2021/02/03 00:07

(最終更新日: 2024/02/18)



≪カンポットペッパーとは ~歴史と復活~ ≫

カンポットペッパー Kampot Pepper は、
カンボジアの南部にある小さな2つの町 カンポットとケップで収穫される
産地の名前が称された 特別な胡椒です。
フレッシュで芳醇な香り、奥深い味わい、マイルドかつ刺激的な辛さが特徴で
 「胡椒の王様」 King of Pepper とも呼ばれています。

カンボジアはもともと、美味しい胡椒がとれる産地として知られ、
13世紀のアンコール王朝まで遡ることができます。

そのなかでもカンポット産の胡椒は 最高品質を誇り、
1870年代からのフランス植民地時代にはヨーロッパの高級レストランが買い求め、
20世紀初めにはカンポットだけで年間8,000トンが輸出されていました。

≪PHOTO: カンポットペッパーを代表する ラプランテーション農園の黒胡椒≫


しかし、世界中の名シェフや美食家に愛されていた
カンポット産の胡椒に悲劇が訪れます。
1970年代のポルポト政権による内戦です。

この時代、カンボジアでは多くの命が失われました。
人々は住んでいた土地を追われ、胡椒畑は破壊されて
米の生産に使われるなど、カンポットの胡椒産業は
失われてしまいました。
1990年代、収穫量はわずか4トンにまで落ち込みます。

2000年になって徐々に農民が戻り始め、
カンポットの胡椒がようやく復活の兆しをみせます。

 2009年、カンポットペッパー協会が設立。
品質を守るための厳しい栽培基準が定められました。

そして、2016年、
協会や農園の努力が実り、EUの 原産地の保護を定めた制度
PGI(地理的表示保護)に守られました。
この保護を受けている胡椒は、世界で2例しかありません。

シャンパーニュ地方のスパークリングワインのみを
「シャンパン」と呼ぶのと同様、特定地域で、厳しい基準を
守って生産されたものと認められた胡椒のみ
カンポットペッパーと名乗ることができます。

≪PHOTO: 2016年11月にプノンペンで開かれた EUのPGI認定の式典≫


≪PHOTO: EUのPGI認定の式典にて。右端にラプランテーション農園オーナーのナタリー。左端はカンボジアを代表するマスターシェフのLuu Meng氏


カンポットペッパーの商品パッケージには、(左から)
カンポットペッパーのロゴ、カンボジアのPGI(地理的表示保護)
EUのPGI、フランスのオーガニック認定機関エコサート(Ecocert)のロゴ
などが入っています。

■カンポットペッパーのロゴ
カンポットペッパーと認定された胡椒にのみ使うことができます。

■カンボジアのPGI(地理的表示保護)ロゴ
地域特有の条件や製法によってのみ作り出される商品と認められたマーク。

■EUのPGI(地理的表示保護)ロゴ
ヨーロッパ連合によって 地域性を認められたマーク。

■エコサート認定 ロゴ
カンポットペッパーの規定にそって作られたことをエコサート認定したマーク。


≪厳しい基準をクリアした胡椒のみ冠することが許される カンポットペッパーの名とロゴ。ラプランテーションの商品にはこのロゴが入っている≫

カンポットペッパーの歴史は、カンボジアそのものの歴史と重なります。
内戦の傷跡から立ち直りつつあるカンボジアにおいて、
カンポットペッパーもまたかつての名声を取り戻しつつあるのです。



≪カンポットペッパーの特徴や、ラプランテーション農園での栽培風景≫

ふだん私たちが使っているのは胡椒を乾燥させたもので、
もともとは、房状に実る植物の種です。

他の野菜や果物と同様、
気候や土壌、栽培方法により胡椒もその香りや味、
品質に大きな差がでます。

≪PHOTO: 青々と実ったラプランテーション農園のカンポットペッパー≫


カンポットの地で古くから栽培されてきた固有の胡椒の種を、
何世紀も受け継がれた伝統農法を忠実に守りながら
すべて手作業で作っているカンポットペッパー。
その美味しさの理由のひとつは、土地の特徴にあります。

カンポットは山と海に囲まれた自然豊かな場所です。
山からのミネラルが豊富で、小石を含む水はけのいい土壌、
豊富な日光と大量の雨、気温を一定に保つ海からのそよ風など
胡椒栽培に最適な条件がそろっています。

≪PHOTO: ラプランテーション農園は、山と海に囲まれたカンポットでも最高の場所に位置する≫


≪PHOTO: ラプランテーションの農地は50ha以上あり最大規模。2万本以上の胡椒の木を栽培している≫


次にカンポットペッパーをさらに特別で美味しいものにしているのは
100年以上受け継がれてきた伝統農法です。
無農薬・無化学肥料で栽培することはもちろん、土づくり、水やり、
収穫、天日干し、パッケージングにいたるまで、すべて手作業。
胡椒農家を代々続けている農民が心をこめて作っています。

≪PHOTO: 手作りした堆肥を、1本1本の胡椒の木の根元にまいていく≫


≪PHOTO: 水やりも、木のコンディションを確認しながら手作業で行う≫


≪PHOTO: 整然と並ぶ胡椒の木(空から)は、木を植える間隔も 決められている≫


≪PHOTO: 4メートル以上に伸びる胡椒の木を、1本1本丁寧に 手作業で世話をする≫


≪PHOTO: 1月1日の収穫解禁日から 6月の雨季前まで、毎朝 150人以上が総出で胡椒を摘みとる≫


≪PHOTO: 重たいバスケットを担ぎながらも笑顔のスタッフ≫


≪PHOTO: バスケット単位で収穫された畑や日などが記載され、商品になるまでこの単位で進んでいく≫


≪PHOTO: 繁忙期には200~250名体制で胡椒を収穫し、同じ日のうちに房から実をはずす≫


≪PHOTO: きれいな胡椒のみを1粒ずつ丁寧に選んで摘む。カンポットペッパーはサイズにも厳しい規定がある≫


≪PHOTO: 熱湯消毒された胡椒は、トラッキングナンバー毎にしっかり管理しながら天日乾燥をおこなう。朝 外に出し、夕方に屋内にしまう作業を2~3日。一日に何度も裏返すことで均一に乾燥させる≫


≪PHOTO: 上から見ると、胡椒の色の違いがよく分かる≫


≪PHOTO: 強い日差しのなか丁寧な作業が求められます。笑顔のスタッフ≫


≪PHOTO: 乾燥すると小さくなる胡椒もあるため、サイズや色など規格外のものは手作業で取り除く≫




≪PHOTO: ラプランテーションは栽培からパッケージまですべて農園内で行っている≫


≪PHOTO: ラプランテーションのゲストハウスでは、作り立ての胡椒が並ぶ≫


カンボジア南部の小さな町で栽培されるカンポットペッパーは
何世代にもわたって胡椒と共に生きてきたカンボジアの人たちの
誇りと未来への希望を代表しています。

心を込めて作られるラプランテーションのカンポットペッパーを通して
「世界一美味しい」といわれる胡椒をぜひご賞味ください。